昨日、担当プロジェクトのプレゼンテーションがモンテモール・オ・ノヴォ市であった。今回はestudo previoと呼ばれる建築許可申請の一歩手前の段階。クライアントと市長に対してのプロジェクトの説明だった。ロンドンのSergison Bates architects、スイスのPeter Maerkliの海外事務所を含め、計5つの建築設計事務所(残りの2つはリスボンのPromontorio、ポルトのJose Paulo dos Santos)とランドスケープ・デザイン担当のPROAPが参加した。
敷地はオリーブの木が所々に生え、岩がゴロゴロところがっているいかにもアレンテージョ地方らしい場所だ。その景色を眺めているだけで、僕はここにアレンテージョのおいしいワインが眠っているのを想像してしまう。ポルトガルでは最近、こういった広大な台地に有名建築家を呼んでリゾート開発を行うのがはやっているようだ。こういう種類のプロジェクトにはいろいろと思うところはある。一応、環境負荷評価手法のBREEAMがこのプロジェクトには導入されているが、これがどれくらい有用なのかは僕は知らない。
クライアントには以前リスボンでプレゼン済みなので、今回は市長に説明するのが目的。特に異論を唱えられることもなく、無事プレゼンは終了した。
ジョゼ・パウロ・ドス・サントスが改修を担当したアライオロスのポウザダで昼食をとった後、同建物内でプロジェクトに参加している建築家、ランドスケープ・アーキテクト、クライアントの間で意見交換が行われる。みんな赤ワインをたっぷりと飲んだ後だったので、かなり率直な意見が飛び交う。このプロジェクトで「クラスター」というのが全体のコンセプトになっており、敷地内に7つのクラスターがある。そして、建物が集まる中央にパブリックな広場を作ることが要求されている。マスタープランを作ったPromontorioからは、コミュニティという言葉が時々聞かれるため、これにはうちを含めたいくつかの事務所が懐疑的だ。ただでさえ週末住宅というプログラム、しかも顧客対象はリスボンや海外などから週末、あるいは夏の休暇を過ごしにやってくるような人々だ。だからその広場、スペースは何のためにあるのか、ということを考えないといけない。そこが子供が遊ぶためのスペースにならずとも、集まって住むことにはセキュリティやインフラの共有という面でいい所はたくさんある。そういったことに関して建築家間で意見の相違があった。
何はとまれ、プロジェクトはまた一歩前進した。
(写真:1/500の模型。各ボリュームから見て時計回りにそれぞれの庭を持つ。クラスター外周部の2階部分からモンテモール・オ・ノヴォの城が見える。)