金曜日。カンポ・デ・オウリケに最近オープンしたばかりのレストランにゴンサロ、フレデリコと3人で行く。ここはもともと肉屋兼シュラスカリアであった。そこを改修し始めたのは2ヶ月くらい前。狭い店内を拡張して、テラス席を設けた新しいレストランはなかなか期待を抱かせる雰囲気に仕上がっていた。
そこはヴィトール・ソブラルというポルトガルでは名の知れた料理人によるレストラン。週末ということもあって、外ではワインを片手に待つ人々で賑わっている。先に着いた僕とフレデリコはカウンターでワインを飲みながら席が空くのを待つ。店員はかなり忙しそうにしているものの、常に客とジョークを交わす余裕は持ち合わせている。しばらくするとゴンサロがが到着して、ファリニェイラとソラマメを煮込んだものと、ニーザのチーズとトマトのコンポータを前菜として注文する。テーブルについてからのメインの小皿料理5品よりも、この前菜の2品の方が印象に残った。ワインもおいしかったし、久しぶりの洗練された料理に満足。
土曜日。シネシュのワールド・ミュージック・フェスティバルに行く。このフェスティバルはまだ始まって数年しか経っていないが、年々規模が大きくなっている。かつて、カボ・ヴェルデ出身の歌手マイラ・アンドラーデなどもこのフェスティバルでその存在を世に知らしめた。まだ世に出ぬ世界のアーティスト達を一堂に集めた音楽祭ということでかなり人気のフェスティバルである。ポルト・コーヴォのビーチやシネシュの城といった魅力的な会場も人気の要因である。
午前中に、ゴンサロ、フレデリコとリスボンを出発し、まずはポルト・コーヴォのビーチへ行く。今夏2度目のビーチ。ポルトガルの大西洋側のビーチは、なかなかヒンヤリとした海水で、最初は入るのにかなりの勇気を要したが、僕はこれが気に入っている。日差しが強烈であるので、日焼けした肌にはちょうど良いのである。そして、何よりもポルトガルの大西洋側には鄙びた美しいビーチがたくさん残っていて、そこにいるだけで何か得をしたような気分になるのである。
フェスティバルは、会場の雰囲気こそ良かったが、肝心のアーティストはやや期待はずれであった。あと、もう少し早く会場に着くべきだったな。何となく雰囲気に乗り遅れた感じはあった。昼くらいには町に着いて、ぶらぶらと観光して、昼食をゆっくり食べて、夕方のライブから会場に足を運んで、それから本番を迎える、といった具合に徐々に興奮を高めていく必要があった。
日曜日。再び、ビーチへ。今度はポルト・コーヴォよりやや北上したトロイアのビーチ。基本的にポルト・コーヴォのビーチと同じ雰囲気。でも、大西洋側ということで言えば、4年前、ポルトガルで初めて迎えた夏に行ったアルジェズールのビーチにはかなわないように思う。そこは人もまばらで、海水も暖かく、より鄙びた雰囲気を醸し出していた。