03 June 2009

日本の現代建築展

今月、リスボンの建築家協会で「日本の現代建築展」が開催されている。10組の建築家の近作のパネル展示に加え、日本から藤本壮介さんやマウント・フジの原田さん、小嶋一浩さんなどのレクチャーも行われている。こういったレクチャーは最近、「忙しい」を理由に見逃していたけれど、今回は「忙しくとも行くべき」と思い直して、事務所を早めに切り上げて藤本さんのレクチャーを聞きに行く。

レクチャーはかなりの盛況で、会場には立ち見も出ている。僕も遅れて入ったので立ち見をする。スライドを見づらい位置だったが、作品は雑誌などで見たものばかりであったので、それほど問題ではなかった。簡潔なコンセプトからランダムに形成される建築をクライアントにいかにして説得するか、という話。ランダムに見えて、実はそのままランダムであるというのが藤本さんの建築の特徴であるように思う。ココとココのラインは合わせる、とか、このカベはこの点とこの点を結んで、とか、潔癖性とも言うべきポルトガル人の形態に対する美意識にどっぷりと浸かってしまっている自分にとっては、その点が非常に新鮮であった。日本とポルトガルの現代建築の類似性を指摘する声がこの日もあったが、一つの大きな違いは、ポルトガルの白いボリュームは、ある程度は建築工法上の必然である、という点である(マテリアルの制約によるもの、とも言える)。あの白いボリュームはモルタルで塗られたレンガの固まりなのである。