08 November 2008

ベンフィカ戦

久しぶりにスタジアムへ足を運ぶ。UEFAカップのベンフィカ-ガラタサライ戦を観戦。ベンフィカは僕がポルトガルに来てから一度リーグ制覇をしたものの、僕を興奮させるような試合をしたことはほとんどない。たまにいい試合をすることはあっても、シーズンを通しておもしろい試合を見せてくれるチームではない。しかし、ポルトガルにおいて、ベンフィカが一番人気のチームであることに変わりはなく、事務所にもたくさんのベンフィキスタがいる。それで、事務所のベンフィキスタとともに試合を観戦しに行った。

リスボンにしばらく住んだことがあれば、あなたはベンフィキスタですか、スポルティンギスタですか、という質問は受けたことがあると思う。サッカーに興味がない人であれば答えられない質問であるけれど、例え興味があっても答えにくい質問である。まず第一に、ベンフィキスタに、自分はスポルティングのファンである、と答えれば、家族を中傷されたかのように不機嫌な態度を取るし、その逆も然り。そういう熱烈なファン意識を考慮して答えにくい。第二に、どちらかというとこちらの方が重要であるが、その両チームの試合は共に面白みに欠けるし、自分の気持ちに嘘をついてまで、どちらかのファンということは僕にとって非常に難しい選択であるからだ。そして、実際にポルトガルのチームで試合を見ていて面白いのは、FCポルトの試合である。だから、僕はポルトファンとは言わずとも、ポルトの試合を見るのが好きだと答えるようにしている。それはベンフィカ、スポルティングのファンにとっても認めざるを得ない事実であるから、彼らも渋々と納得することになる。

木曜日の試合はベンフィカファンにとって最悪であった。今までと変らず、ディフェンスは横に4人並んでいるだけで、いとも簡単に相手チームにゴールを奪われて、ホームで0-2の敗戦。5人のベンフィキスタは、ベンフィカファンではない日本人を前にしてかなり決まりが悪そうである。挙げ句の果てにゴンサロは、お前といっしょに見るといつも負けるんだよ、お前のせいだ、といつものセリフ。さすがに何度も言われるといい気持ちはしないので、

「ベンフィカファンは親切な人達だね、負けるといつも俺の責任になるから。」

と答えると黙り込んでしまった。翌日も、事務所では同じようなことを言っているし、アデライデも、「あなた強いチームが好きなんでしょ。」なんて言う始末である。強いチームが好きと言わずとも、魅力のないチームをわざわざ好きになるような人がいるだろうか(ベンフィカが嫌いな理由は、試合運び云々よりも、強化方針のまずさである)。リスボンっ子でもなく、ベンフィカの黄金期を知るわけでもない日本人にベンフィキスタになれ、という方が無理である。