30 June 2006

大一番を制し、イングランド戦へ


6月25日のオランダ戦を前にして、ラジオからはひっきりなしに「オ・グランデ・ジョゴ」、大一番の言葉が聞かれた。その大一番を制したポルトガルは今週末の土曜日にイングランド戦を迎える。

大一番は予想を上回る「大乱戦」だった。両チーム合わせて16枚のイエローカードの出た試合、日本では深夜にあたったため見ていない人も多いかもしれない。前半、ポルトガルらしいパスワークからマニシェが先制弾をあげる。しかし前半終了間際、ポルトガルは中盤のコスティーニャが「無駄な」ハンドを犯して退場し、自らを窮地に追い込む。その終了間際はそれまで抑えられていた左ウイングのロッベンが、もう少しでポルトガルディフェンスラインの突破に成功しようとしていた。ロッベンは抑えられていたにしろ、右サイドはアーセナル所属のファン・ペルシーに一度完全に崩され、技ありのシュートを打たれていた。しかも1点目の起点になったロナウドを怪我で欠く。

「後半はカウンター・アタックで行こう」

僕が同僚のゴンサロと観戦していたレストランでは、みんなの意見は一致していた。それはポルトガルのベンチでもそうであったらしく、後半ポルトガルはプティ、ティアゴら中盤のディフェンシブな選手を投入し、1トップのパウレタを下げる。そしてオランダの猛攻が始まった。審判から容赦なく出し続けられるイエローカードが選手を激怒させ、危険なプレーが続出し、試合は荒れる。乱闘寸前となるシーンが幾度となくあった。両チーム2人ずつ退場した試合の中、唯一冷静さを保ったのはフィーゴだった。前線でボールをキープし、苛立つオランダの選手からファールを誘い、オランダの勢いを削ぐ。そしてポルトガルは何とか前半の1点を守りきった。

予選リーグ初戦のアンゴラ戦を除き、これまで3試合を観戦した印象として、ポルトガルは爆発的な攻撃力を誇るわけでもなく、ディフェンスはむしろ、やや難あり、だ。迫力のあるチームではない。目立つのはフィーゴ、デコ、そして2得点のマニシェ、と中盤の選手。日本代表的ですらある。チャンスをものにし、先制点を奪い、有利に試合を進める試合運びのうまさがポルトガルの強さだ、と言いたいところだがそれを言うのはまだ早い気がする。オランダ戦はツキがかなりあった。だから、次のイングランド戦でポルトガルの真価が問われると思う。

「デコがいなかったから、、、」

なんて言い訳は、普段ブラジル人を馬鹿にしているポルトガル人から聞くことはないと思うけれども、、、。