日本へ戻ってきてやりたかったことの一つが髪を切ることだ。ポルトガルにももちろん美容院や散髪屋はある。でも、なかなか思うようにいかない場合が多い。しかも僕の場合、「スく」ことのみを要求することがほとんどなのだけれども、たいてい彼らは髪をうまくスくことができない。
「とりあえず15ヶ月前に戻してください。」
これが僕が久しぶりに行った吉祥寺の美容院での注文。
「スくことを頑張ろうと思います。」
スけないポルトガルの美容師の話をしたものだから、5年間僕の髪をスイてきたクガさんも意気込み十分だ。あー、これなんだよなぁ、と思いながらクガさんがスいていくのを見守る。単にギザギザのスキバサミを使えばいいというものではない。
美容院に行く前に一風堂でラーメンを食べた。吉祥寺に髪を切りに来たら、一風堂でラーメンも食べる。これが福岡出身である僕の東京でのルーティンだった。