12 September 2005

混迷のタクシードライバー

今日、リスボンへK教授ご夫妻がいらっしゃった。空港まで迎えに行き、空港からタクシーでホテルへ向かった時のこと。「空港からのタクシーには気をつけろ」というのはどこの国の、どんなガイドブックにも書いてあることと思うが、こんなことは初めてだった。

先生ご夫妻とともにタクシーに乗り、行く先を告げる。久しぶりに先生と再会したこともあり、タクシーの中で話をしていると、運転手が「ポルトガル語話せるか?」と聞いてくる。「少し話すよ」と答えると、「リスボンに何しにやってきたのか?」と質問。自分は今建築事務所で働いていて、いっしょに乗っているのは大学の教授で、明日から開催される会議に出席されるために来てるんだ、というようなことを話す。ホテルは空港から近かったため、まもなくホテルに到着し、お金を払う段階。メーターは4.2ユーロ、それにトランク使用料の1.6ユーロ。合計で5.8ユーロ。先生は小額のお札を持っていらっしゃらなかったので、50ユーロ札を渡される。僕は先に下りて荷物をトランクから出していると、先生はちょっとキョトンとした様子で座席にお座りになったまま。「どうされました?」と尋ねると、どうやらお釣りが少ない模様。50ユーロ渡して、25ユーロしか返ってきていない。「お釣りおかしいねぇ」といった表情をしていると、運転手が10ユーロだけ戻してくる。それでも9ユーロくらい足りない。そこで僕が抗議する。「4.2プラス1.6で5.8ユーロでしょ?」すると運転手はもっともらしい運賃表のようなものを取り出して、「いや最近から土日祝日、空港からのタクシー代にはミニマム・チャージがあるんだ」と説明してくる。「今までそんなの払ったこと、いーちーどもない」と「Nunca」に気持ちを込めて、肩をすくめて、目を見開いて抗議する。「そんなの知らないよ」と返事。そこでホテルのフロントに確認しに行くと、やはりそういうものは存在しないらしい。そこでもう出発しかけていたタクシーを止めて抗議する。すると「分かった、分かった。50ユーロ返すからおつりを返せ。そして5ユーロだけ渡せ。」向こうは完全に開き直っている。それで言われた通りお釣りを返して、50ユーロを返してもらい、それから僕が5ユーロ渡すと、何と運転手はその5ユーロ紙幣をビリビリに引きちぎって窓から捨てたのである。びっくりー。