19 November 2009

ワールドカップへようこそ

フレデリコ、ゴンサロ、シルビア、シルヴァン、そしてポルトガルでお世話になっている方々、ワールドカップへようこそ。

今日のボスニア戦はフレデリコ、シルビア、シルヴァンと共にアイリッシュ・バーで観戦。最も、アイリッシュ・バーということで、半分のテレビはポルトガル-ボスニア戦、もう半分はフランス-アイルランド戦を映している。当然のようにフランス人のシルヴァンはフランス戦を観戦し、残りはポルトガル戦を観戦する。ポルトガルは後半開始早々に先制点を挙げ、アウェイゴールのルールで意外と早くワールドカップ出場を確実にした。その間、先制点を決められたフランスは、第1戦との合計で、アイルランドに追いつかれている展開。そこで僕はフランスの応援に回る。フランスの苦労ぶりはポルトガル以上であったことがその試合を見て分かる。そして延長戦に入り、アンリのハンドが見逃されて決勝ゴールにつながる。しかし、これもサッカー。シルヴァンは素直に勝ちを喜ぶ。

その後、バイロ・アルトで4人でカイピリーニャで祝杯を挙げる。フレデリコ(スイス人)もシルビア(ポルトガル人)もシルヴァンも、そして日本人である僕も、来年の夏は大いに楽しめそうである。

16 November 2009

フラメンコ・ライブとワイン試飲会

週末はサッカーだけではなかった。

雨の降る中、ルス・スタジアムを後にして、サントスのスペイン・バルに向かう。ここは事務所の隣の隣ぐらいにあるバルで、その天井の高い空間と店員のリラックスぶりが売りのバル。もちろん、食事もおいしい。その日はそこでフラメンコ・ギターのライブがあるということで、ユウコさんに誘われて行く。サントスに到着する頃には土砂降りになっており、フードをかぶって、曇った眼鏡にたくさんの水滴をつけて店内をのぞく様子は、内側からはきっと気味悪く映っていたに違いない。演奏も良かったけれど、即興で踊り出した超美人なスペイン人によるフラメンコも良かった。薄暗い店内の雰囲気、そして土砂降りの天気も相まって、何だかとても色っぽく、ドキドキしてしまった。

翌日はベレンで開催されていたワインの試飲会に参加。何度かテレビでニュースになっているのを見たことがあったけれど、参加するのはこれが初めて(これまたユウコさん情報)。入場料が10ユーロ、そして、試飲用のマイグラスが2.5ユーロ。これで100以上あるメーカーのワインを試飲できる。一度こういう会に参加してみたいと思っていたので、会場内に並ぶたくさんのブースを見て感激。さすがに全ては試飲できなかったけれど、気に入ったワインもいくつか見つかり、生ハムやチョリソ、オリーブオイル、そしてレイタォンまでポルトガルの食の神髄を堪能した。

15 November 2009

プレーオフ第1戦後

ルス・スタジアムには試合開始ぴったりの午後8時半に着く。スタジアムは満員。今までポルトガルに限らずこれほど観客の入ったスタジアムで観戦したことがないような気がする。ポルトガルの国歌斉唱が始まると(僕はこの時間のためにスタジアムに足を運ぶようなものだが)、観客はポルトガルのマフラーを両手で広げ、スタジアムはポルトガルの色に染まる。この瞬間にポルトガルに対する複雑な思いを断ち切り、応援しよう、という気になるのである。

ロナウドに変わり出場したナニはまだ90分間に渡っていい仕事ができる程ではなかった。それを証明するかのように最初の交代はナニであった。ペペのボランチ起用はあまり好きではないけれど、背の高い空中戦を得意とするボスニア相手には機能していた。そしてボールをカットしてから攻撃に転じる速さがあり、好機を作り出していた。相手によってはペドロ・メンデスなり、ティアゴなり、もっとボールさばきのうまい選手を使うことも可能である(僕はどちらかと言えばこの方が好きである)。デコはチェルシーに移籍して以来、体のキレがいまいちであり、ケイロスがモウティーニョをほとんど起用しないのは疑問である。両サイドは思った程悪くなかったが、ドゥーダはほとんど攻め上がれず、久々の出場のパウロ・フェレイラもチームとの連携がいまいちで、攻撃のチャンスをあまり作ることができなかった。ケイロスになって以来、前回ワールドカップやユーロの際のような全体が連動し、パスワークで崩すポルトガルらしいサッカーをなかなか見ることができない。

前半は両サイドからボスニアにクロスを挙げられ、得点になりそうなシーンが続く。ゴールを割られるのは時間の問題であると思わされる。ミシモビッチは平均的な10番の選手であったが、ボスニアのサイドからの攻撃はシンプルで効果的であった。2トップをめがけて蹴られたボールはかなりの確率でボスニアがキープした。そしてジェコはやはりポルトガルにとって脅威であった。ヘディングの強さだけでなく、ボールキープ、ドリブルも非常にうまく、一人でシュートまで何度か持ち込んだ。ボスニアのシュートは3度ゴールポストを叩いた。

結果的には1-0で勝利したが、0-3で敗れていたとしてもおかしくない試合内容だった。ポルトガルのワールドカップ出場は最後の最後まで分からない。

14 November 2009

プレーオフ第1戦前

クリスティアーノ・ロナウドの招集を巡ってレアル・マドリードとポルトガルサッカー協会の間で綱引きが行われた裏で「俺の出番だ」と言い切ったナニ、ハンガリー戦で救世主の一人となったペドロ・メンデスと交代するように怪我から復帰したボランチに入る予定のペペ、最も安定したプレーを見せていたボジングワの欠場に伴う両サイドバックに対する不安、昨シーズンのブンデスリーガを制したヴォルフスブルグのエースストライカー、ジェコと10番を背負うミシモビッチのボスニアの2選手、と個人的にもいろいろと注目する要素のあるポルトガル-ボスニア・ヘルツェゴビナのプレーオフ第1戦まであと2時間。ゴンサロはまだ来ない。

08 November 2009

ムゼウ・デ・ファロル・デ・サンタ・マルタ


パウラ・レゴ美術館から海岸に向かって5分程歩いたところにサンタ・マルタ灯台博物館がある。アイレス・マテウスによる(一見)ささやかなインターベンションであるが、この美術館を僕はとても気に入った。灯台とそこに隣接する既存の建物は淡いブルーのアズレージョで覆われ、海岸要塞跡の城郭に呼応するような形で、新たに白い不定形な箱がランダムに配置されている。灯台、城郭という既存のコンテクストに対して前者に対してはアズレージョという素材で、後者に対しては形体でそれぞれ応答している点がおもしろい。結果としてそこに生み出された残余空間としてのオープンスペースも居心地の良い空間になっている。ポルトガルにある灯台の歴史やその仕組みが博物館のテーマであるが、そこに展示された光を遠くまで放射させるための巨大なレンズは一見の価値がある。巨大な人造人間のために作られた目の玉のようである。


パウラ・レゴ美術館


カスカイスにソウト・デ・モウラ設計のパウラ・レゴ美術館を見に行く。ポルトガルの世界的な画家、パウラ・レゴの半生を辿る美術館である。夏以来、久しぶりに見た海は秋になり閑散としているが、カスカイス線の電車から眺めるテージョ川河口から海へとつながる風景はいつ見ても飽きない。海を見るのも久しぶりだったけれど、カスカイスを訪れるのもかなり久しぶりだった。ヴィラやパラシオが点在し、緑の多いカスカイスの町は歩いていて気持ちがいい。アルガルベ地方の乱開発されたリゾート地とは異なり、昔ながらの「避暑地」という雰囲気が未だにある。

そのカスカイスの町中を通り抜け、海岸線を歩いて行きながら、パウラ・レゴ美術館はどんな感じだろうと考える。ある建物を訪ねるとき、それが駅やバス停から離れている場合など、目的地までしばらく歩いて行くことになる。その過程でその町の雰囲気を感じ取る。僕はこれは建物の立っているコンテクストを理解するという意味で非常に意義のある時間だと思う。アルマダの「青の劇場」を訪ねるまでの間に、アルマダという町の殺伐とした郊外の雰囲気を感じ取るし、ブルーダー・クラウス野外礼拝堂を訪ねるまでの間に、いやという程の田園風景を目の当たりにする。その過程を経て、写真だけでは腑に落ちなかった点に大いに納得する場合があるのである。もちろんその逆の場合もある。

パウラ・レゴの作品は、その表情や体つきを正確に描写したポルトガル人女性と時折登場する動物たちの組み合わせが特徴的だが、それが近年の作風であるということがこの美術感に行けば分かる。彼女の一生を辿ることができるように一筆書きに展示空間が配置されている。そしてそれに取り囲まれるようにして、やや大きめの企画展示室がある。常設展示室を辿って行くと、時折中庭の風景などが見えるようになっている。

美術館まで行く途中、僕はこの美術館は想像しているよりも小さいのではないかと思い始めていたが、実際にはその想像と写真で初めて見たときの印象の中間であった。あの2つの煙突屋根がどういう空間なのかに興味があった。それは建物の外観を特徴付けていたし、内部も何かしらの仕掛けが為されているに違いないと思うからだ。しかし、この煙突空間に関しては期待はずれであった。この煙突空間は展示空間とは全く関係を持たない切り離された空間であり、2つの煙突屋根の下にはそれぞれカフェテリアとミュージアムショップがある。カフェテリアに関しては一度中庭に出てからそこへ入るため、せっかくの大空間もそれほどインパクトを与えることができていない。そこが残念な点ではあるが、コンパクトに機能がまとめられている点は良いと思う。