15 November 2009

プレーオフ第1戦後

ルス・スタジアムには試合開始ぴったりの午後8時半に着く。スタジアムは満員。今までポルトガルに限らずこれほど観客の入ったスタジアムで観戦したことがないような気がする。ポルトガルの国歌斉唱が始まると(僕はこの時間のためにスタジアムに足を運ぶようなものだが)、観客はポルトガルのマフラーを両手で広げ、スタジアムはポルトガルの色に染まる。この瞬間にポルトガルに対する複雑な思いを断ち切り、応援しよう、という気になるのである。

ロナウドに変わり出場したナニはまだ90分間に渡っていい仕事ができる程ではなかった。それを証明するかのように最初の交代はナニであった。ペペのボランチ起用はあまり好きではないけれど、背の高い空中戦を得意とするボスニア相手には機能していた。そしてボールをカットしてから攻撃に転じる速さがあり、好機を作り出していた。相手によってはペドロ・メンデスなり、ティアゴなり、もっとボールさばきのうまい選手を使うことも可能である(僕はどちらかと言えばこの方が好きである)。デコはチェルシーに移籍して以来、体のキレがいまいちであり、ケイロスがモウティーニョをほとんど起用しないのは疑問である。両サイドは思った程悪くなかったが、ドゥーダはほとんど攻め上がれず、久々の出場のパウロ・フェレイラもチームとの連携がいまいちで、攻撃のチャンスをあまり作ることができなかった。ケイロスになって以来、前回ワールドカップやユーロの際のような全体が連動し、パスワークで崩すポルトガルらしいサッカーをなかなか見ることができない。

前半は両サイドからボスニアにクロスを挙げられ、得点になりそうなシーンが続く。ゴールを割られるのは時間の問題であると思わされる。ミシモビッチは平均的な10番の選手であったが、ボスニアのサイドからの攻撃はシンプルで効果的であった。2トップをめがけて蹴られたボールはかなりの確率でボスニアがキープした。そしてジェコはやはりポルトガルにとって脅威であった。ヘディングの強さだけでなく、ボールキープ、ドリブルも非常にうまく、一人でシュートまで何度か持ち込んだ。ボスニアのシュートは3度ゴールポストを叩いた。

結果的には1-0で勝利したが、0-3で敗れていたとしてもおかしくない試合内容だった。ポルトガルのワールドカップ出場は最後の最後まで分からない。