今週月曜日、建築家協会にカルメ・ピノスの講演会を聴きに行く。ミリャーレスの元パートナー(ということしか僕は知らなかったけれど)であった彼女が自身の事務所を設立してどんな作品を作っているのか興味があった。彼女が自身の事務所を設立したのは1991年というもうかなり昔のことらしい。
コンペで勝ち取ったバルセロナにある広場の改修プロジェクトから講演は始まる。敷地のフィールドワークを行い、それを設計に反映していくプロセスを彼女は説明する。スライドが進むにつれ、彼女がミリャーレスのパートナーであったことを思わせる形体が広場に現れてくる。熱っぽく語られる彼女のスペイン語に耳を傾けながら、「フィールドワーク」などというプロセスについてポルトガルの建築家が語ることはあるだろうか、と考える。逆に言えば、そういった「都市へのまなざし」にこそバルセロナの空気を感じとる。そしてその姿勢に僕は大いに共感した。
ポルトガルの建築家の作品をどういう風に説明できるかということを最近考えている。彼らにとってコンテクストというものが重要な手がかりであることに変わりはない。作品を見れば「大地の建築化」、あるいは「建築の大地化」とでも呼べそうな質の高い作品がたくさんある。しかし、「都市へのまなざし」というものは、それとは違う。
講演会はその後、メキシコのトーレ・クーベ(これは雑誌で見たことがあった)などの作品を紹介して終了する。ちなみにこの講演会は「MADE IN SPAIN」というスペインの現代建築をプロモートするプロジェクトの一環で、他にもミラノでマンシーリャ・イ・トゥニョン、パリでバスケス・コンスエグラが講演を行う。その際、現地の建築批評家も講演会に同席するという企画。肩肘張らない、かつ、効果的に見えるこのプロモーションの方法はうまいなと思う。