14 March 2012

ラ・カサ・エンセンディーダ

マドリード工科大学の建築学部、ETSAMに学位認定の手続きに行く。教育省からの手紙とパスポートのコピー、そして申請書を提出する。午前中の早い時間に着いていたが、受付は正午からということで、大学内を見て回る。キャンパスはそれほど魅力的ではないけれど、たくさんの学生で溢れかえって活気に満ちている。正午になって、以前から電話で話していた学位認定の係の人に書類を提出し、サインをして手続き終了。9月に大学に来る旨を伝えられる。

予想以上にあっさりと手続きが済み、マドリード市内をぶらぶらと散歩する。あまり美術館などに入って展示を見る元気もなかったけれど、以前から気になっていたラ・カサ・エンセンディーダに立ち寄る。ラバピエス地区の南端にあるこの建物は、マドリード銀行が運営している文化施設だ。元々の銀行の建物を改修して、展示施設、市民のためのコンピュータ室、資料室などに用途変更されている。半屋外の中庭や、屋上の小さなテラスなど、改修プロジェクトとしても興味深い。ファサードのレンガを用いた幾何学模様も特徴的で、イスラム教建築とキリスト教建築の融合と言われるムデハール様式の一種。ラ・カサ・エンセンディーダ(チカチカする家)という呼称も、そのレンガ模様が由来であるらしい。

その後、マドリードよりリスボンへ展示の後片付けに向かう。会場の建築家協会ギャラリーに着くと、プロジェクター二台のうち一台しか使われておらず、「遠隔操作」の難しさを思い知るが、とりあえず展示は終了。1時間程度で後片付けをする。帰りに市役所広場を通りかかると、ゴンサロ・ビルネとファルカォン・デ・カンポスによるポルトガル銀行の改修工事が完成間近となっていた。既存の建物の外壁にはリオシュという石が使われており、それがきれいに洗浄されている。このピンクがかった白い石はリスボンの町を特徴づけていて、そのせいで街全体がうっすらと白い光に包まれている。この雰囲気が何とも言えぬリスボンの魅力である。