01 January 2011

アルハンブラ

大晦日におよそ10年ぶりにアルハンブラ宮殿を訪ねる。その時に撮った一枚一枚の写真は今でも思い出すことができる。複雑に刻み込まれた天井の装飾を必死になってカメラにおさめようとしたり、ガイドブックの通りにパティオの写真をとってみたりした。でも、意外とその空間に関する記憶はないことに気がつく。長方形の宮殿に丸く穴があけられたカルロス5世宮殿の中庭でさえ、僕は一体この場所を訪ねたのだろうか、と疑わしく思った程だ。ただ、アルハンブラ宮殿の全体を眺めるために、アルバイシンという地区だったか、サクラモンテという地区だったか、どこかの丘の頂上まで、たまたま旅先であった日本人とともに登ったことはよく覚えている。少なくとも当時のスペインのガイドブックにはとにかく、ここは危険だ、首締め強盗に会う、と脅し文句が並んでいて、その丘もリストに挙がっていたのではなかったか。あるいは、そのせいで僕はその丘にのぼったことをよく覚えているのかもしれない。