週末をドイツで過ごす。すると、帰りの便で見事にあの火山灰の影響を受けて、フランクフルト空港で約8時間足止めされる。その日はポルトガル方面の便に影響が出た模様。始発だったのでキャンセルにはならずに済んだのが不幸中の幸いであった。出発が何度も先延ばしにされて、今日はもう飛ばないのかな、と思っていたら午後3時過ぎにようやく搭乗開始。
午後6時半にリスボン空港に到着してタクシーに乗り込む。ラジオからは前日日曜日に5季ぶりのリーグ優勝を遂げたベンフィカの祝賀会の様子が大袈裟な調子で伝えられている。タクシーがレプブリカ通りに入ると翌日のローマ法王来葡に向けて駐車規制の準備をする警察官の姿があちこちに見られる。マルケシュ・デ・ポンバルのロータリーにはベネディクト16世の巨大な写真が掲げられ、町中が歓迎ムード一色に包まれている。帰宅してテレビをつけるとその日、欧州各国の株が記録的な上昇を遂げたこと、その理由の一つとしてポルトガル、スペインがさらなる財政緊縮を約束したこと、ポルトガルの政策内容とは2011年までに財政赤字のGDP比を5.1パーセントまで下げることであり、それにはIVAの2パーセント引上げ、全国民のクリスマス賞与に対する増税などが必要とされていること、などが伝えられる。つまり、ユーロ危機がポルトガル国民の、正確には僕を含む納税者の生活にはっきりと目に見える形で影響を及ぼし始めたということである。
その日、ワールドカップへ向けたポルトガル代表も発表され、帰国とともに様々なニュースが飛び交い、もはや、火山灰で飛行機が飛ばないなどということは大したニュースではないようだった。