29 April 2009

紙の模型

パウロ・メンデス・ダ・ロシャの『Maquetes de Papel』を読み終える。2006年にサン・パウロで行われた「模型ワークショップ」におけるメンデス・ダ・ロシャのレクチャーを収録したもの。2年前にリスボンで聴いた彼のレクチャーの様子を思い浮かべながら読み進めた。そのとき、力強く、溌剌としゃべるのが印象的であった。

「5分で一つ模型を作る。あなたのためであって、誰かに見せるためではない。構造家が算出した寸法をすでに持ち合わせた模型を作る。枕を高くして眠れるように模型を作る。ああ、これは完璧だ、うまく行くに違いない!と言うために模型を作るのだ。プロポーションを整え、紙で作った人形を一つ置き、それがきちんと立つように下からピンで留める、ちょうどパトリアルカの銅像と同じ高さになるように。そこで腰をかがめて模型を眺める、誰もあなたのことを見ていない、一人っきりで模型を眺めてみる、、、。詩人のように、アルコールをもう一口含み、タバコをさらに一本吹かし、窓際に立って、手で髪を梳いてみるのだ。誰かが見るためのものではない。そこでもう一度模型を眺めて、これだ!と言うのだ。(本文より抜粋)」

模型を作るということは、散らばった言葉を組み合わせて詩にするようなものだ、と彼は言う。模型を作る前から出来上がるもの、あるいは、出来上がるべきものは既に無意識の中にある。散らばった記憶、原体験を呼び覚まし、具現化するために模型を作るのだ。それには「紙」というマテリアルが最適であり、模型をつくるという行為は、潜在意識とプロジェクトを結びつける「調整」そのものである、という視点は非常に興味深い。