07 February 2007

中絶が違法である国

今週末、ポルトガルでは中絶をめぐる国民投票が行われる。ポルトガルでは現在、人工妊娠中絶が法律で禁止されている。ポルトガルではこれまで何度か法改正が試みられてきたそうだが、現在まで違法である。全ての女性、そして男性が直面する可能性のあるテーマであるだけに、連日、ポルトガルのメディア、そしてレストランはこの話題で賑わっている。

ポルトガルでも、レイプ、妊婦の生命に危険がある場合などは、中絶が認められている。今回国民にその是非が問われるのは、「妊娠10週以内の人工妊娠中絶を合法とするかどうか」、である。ポルトガルがカトリック教色の濃い国であることが、中絶を違法としていることに影響していることは疑いようのない事実だけれど、その観点からのみこの問題が扱われているわけではもちろんない。むしろ、今回の法改正案に「ノー」の立場の人でさえ、中絶した人への偏見はなくすべきである、という意見を持ち合わせている場合が多い。「自由な中絶」に反対することが「密やかに行われる中絶」につながることは、彼らの望むところではない。いずれの立場も、妊娠した女性を守る医療環境の充実を求めている点では一致している。数多くの女性がポルトガルからスペインへ中絶の治療、手術を受けに行くのは、スペインが中絶を合法化しているためだけではない。

「ノー」の立場の人が危惧することの一つに、合法化後、中絶する女性の数が爆発的に増加することである。これは多くの国で中絶合法化に踏み切った後に見られた傾向である。あくまで中絶は違法だが、例外事項で対処し、現状にあった法律にすることができると考える人もいるようだ。

「PUBLICO」が今年1月12日に行った世論調査によれば、今回の法改正に賛成の人は67%、反対は33%である。ジョゼ・ソクラテス首相は、今回の国民投票で反対意見が上回れば、法改正は行わない、と確約している。