金曜日の帰り際、4月以降のことを話そうと思って、普段はなかなかつかまらないスザナをつかまえる。スザナはコーディネーターの一人だが、ここは大企業ではない故、設計もやっている。彼女は何故か知らないがいつも不機嫌そうに見えるが、実際はそんなことはない。話しかければきちんと対応してくれる。でもいつも不機嫌そうに見えるため、「彼女は何でいつも不機嫌なんだろう?」と最初は誤解されやすい。
従って、「話せば分かる」人なんだけれど、改まって何かを話す、とりわけこういう話題をするとなるとちょっと緊張せざるを得ない。で、他の話題も一応持っていく。
「前にも話していた2月下旬に休みを取りたいという話なんですけど、日程が確定したので報告しにきました。」
と、2月下旬の休みの話から切り出す。2月下旬に大学から研究者の方がいらっしゃるので、その時にヒアリングのお供をすることになっている。無事、休みをとることができそうだ。(それでー)と思っていると、スザナの方から、
「あなたがこの事務所のこと、どう思っているのか前から聞こうと思っていたのだけれど、どう思っている?私たちはあなたが4月以降もいることに興味をもっているわ。もしあなたがその気ならね。」
「僕もちょうどその話をしようと思っていました。」
告白しようと思ったら、向こうから先に告白される、といった何とも都合のいい展開だ。この瞬間に僕の緊張の糸はするすると解け始める。来週、契約の細部を話すことにして、スザナといろいろと仕事のことについて話す。
「ポルトガル語をもっと話せるようになれば、もっと責任のある仕事を任せられるようになるわ。」
去年の4月にリスボンにやってきて、10ヶ月が経過したけれど、ここからがまた新しいスタートになりそうだ。シザ事務所で頑張っていらっしゃる日本人先輩方を目標に、やはり一人でプロジェクトを担当できるように頑張ろう。