11 May 2008

ムゼウ・ド・オリエンテ


竣工したムゼウ・ド・オリエンテとリスボン・ドイツ人学校を先週所員と見学。

まずは事務所からも近いテージョ川沿いのムゼウ・ド・オリエンテへ。これは元々バカリャウの貯蔵庫で、ポルトガル(おそらく世界でも)有数の財団、オリエンテ財団が買い取り、財団のコレクションであるアジア各国の民族衣装、工芸品などを公開するミュージアムへ改修されたもの。僕も2年前に実測調査を手伝っていたプロジェクトで、当時はバカリャウ独特の匂いと正体不明の液体が建物に残っていて実測するのもなかなか大変であった。

冷蔵庫であったこの建物には、元々地上階を除いて開口部がない。しかも、市より産業遺産に指定されているために、新たに開口部を設けることができないことがこのプロジェクトの最も難しい部分であった。ミュージアムではそれを逆手にとって暗闇の中に、展示物が浮かび上がるような展示方法をとっている。ショーケースのガラスを通して奥の展示物が見えたり、そこに隣の展示物が映り込んだりして、展示空間が無限に続くような錯覚に陥り、黒い空間とカラフルな展示物がコントラストをなして効果的だ。

ミュージアム以外にも、この建物にはオーディトリアム、会議室、オフィス、教育スペース、レストランなどがプログラムとして入っている。このミュージアムはアルカンタラの幹線道路を越えた川沿いに位置し、本来リスボン港湾局が所有した土地、建物であるが、港湾局管轄内で唯一民間に売却された例である。