02 December 2006

フェルナンド・ゲラのインタビュー

ポルトガル人写真家フェルナンド・ゲラに、スペインの建築情報ウェブサイト Arkinetia(http://www.arkinetia.com/)がインタビューしている。

ものごころついた時から写真家だったと語るフェルナンド・ゲラは、1993年に大学を卒業し、すぐにマカオで建築家として活動を始めた。

「どこか違う場所で研修をしてみたかったんだ。」

と当時の心境を語るフェルナンドは、そのまま5年間マカオに留まった。「離れるのがつらかった」マカオで個人的な日常をカメラに収め、ヴェトナム、ネパール、中国、タイを旅行し、そこで出会った人々を写真に撮った。建築を撮ることにはあまり興味はなかった。1999年にポルトガルに戻り、建築事務所を構え、通常の建築家がそうするように、コンペに参加し、プロジェクトを進めた。

転機は、弟のセルジオが大学を卒業し、事務所に加わってから。それ以来、写真家としての活動に専念し始める。セルジオがリスボンの事務所で様々な雑務をこなす中、自身は一週間のうちほとんど事務所を空け、写真を撮った。

様々な新しい雑誌が、インターネットを利用するようになったのと時を同じくしていたのが、彼にとっては幸運だったという。ポルトガルのプロジェクトを写真に撮り、Wallpaper、Architectural Record、a+u、Detail、Interni、Icon など多数の雑誌に写真を送った。

彼の建築写真には「人」が介在する。むしろ人物が中心で、建物は背景だと言っても良い(通常の写真がそうであるように)。つまり、「空白な、殺菌された」建築写真は彼が意図するところではない。彼は一つの建築を撮る場合、一日そこに滞在し、朝から夜まで、時間の経過を意識した写真を撮っている。

「現場にそれだけ長く留まっていると、人々は僕の存在を忘れ、自然な状態が現れ始めるんだ。」

自身の父親を始めとして、周囲は建築関係者ばかりで、建築家以外の職業の人に出会うことが興味を掻き立てるフェルナンド。それでも、

「今、アルヴァロ・シザから電話を受けることは、とても刺激的なことなんだ。そんなこと想像もしなかったからね。」

と建築を学んだ者としての、純粋な気持ちの高ぶりも隠さない。飛行機移動で貯まるばかりのマイルを使う暇がないと言う彼は、刺激に満ちた毎日を過ごしている。

フェルナンド・ゲラのウェブサイト、ultimas reportagens (http://www.ultimasreportagens.com/)でアルヴァロ・シザの韓国のプロジェクトのスライドショーを見ることができる。このBGM付きのスライドショーに彼の表現意図が現れていて、見ている側は勝手にストーリーを思い描いてしまう。