日本にアクシデントで戻ってきたはずが、こちらでいろいろとハプニングがあり、あっという間に4ヶ月が経過し、あと2週間程でマドリードに帰らなければならない。居心地の良かった日本から「帰らなければならない」と言いつつも、日本のテレビで時々見かけるポルトガルやスペインの風景を見ていると、わくわくしてくるのも事実だ。
そういうどっちつかずの現在の心境を反映するかのように、僕の頭の中では今、いろいろなことがぐるぐると頭の中を駆け巡っている。少し前に、僕にインタビューをしたい、という方たちが現れて、彼らは僕がブログや雑誌の記事などに書いたものをじっくりと読んでくれていたようで、それについてのコメントを改めて求められるということがあった。ポルトガルについて、ポルトガルの建築について、展覧会について、建築展において何を見せるか、郊外について、中心と周縁という考え方について、外から問題の中心を眺めることについて、今後の展望について。
この中でも、外から問題の中心を眺めること、というのが僕に取っては今、最大のテーマであり、今後も常に僕の頭の片隅を占めていくテーマであるように思う。具体的には、日本とスペイン、あるいはポルトガルでそれらを横断しながら建築にたずさわるとは何か、ということ。
それは一見、グローバルな視点であるようで、実際には、いかにそれぞれの場所と向き合うか、という、ローカルな視点が必要になってくるだろう。やはりそれは「グローバル」というほどの多様性を含んでいるわけではなく、スペインとポルトガルを無理矢理ひとまとめにしてしまえば、二つのローカル、場所に拠点を持っているに過ぎない。しかし、この場合、イベリア半島と日本の間には、頻繁に行き来をできない距離が存在するわけで、実際には対岸に行かずとも、対岸からはこう見える、とか、対岸ではこう考える、といった、二つの視座を持つことになると言える。
政治、経済、文化的背景の違いを踏まえつつも、視点、ものの考え方のようなものだけは、ふわりと両者間を行き来できるのではないかと考えている。