05 October 2010

ポルトへ

先週末土曜日の朝、リスボンのサンタ・アポロニア駅よりポルトへ向かう。ゴンサロ、ヌノさんとともにポルトガル建築展の打ち合わせのため。リスボンの町には朝から濃い霧がかかっていたが、徐々に霧は晴れて行く。電車の中で偶然、タカシさんに出会う。スペインへ撮影に行くと聞いていたが、撮影場所がサンティアゴ・デ・コンポステーラであるため、彼も北上していたのだ。

カンパニャ駅から打ち合わせ場所のマトジーニョスまでメトロで向かう途中、カーザ・ダ・ムジカで昼食をとり、午後4時頃マトジーニョスへ到着。打ち合わせは2時間にも及んだが、何とか良い方向へ一歩踏み出した。その後、ゴンサロ、ヌノさんと別れ、予約していたホテルに向かう。そこで先月からうちの事務所でインターンをしているタマダくんと合流。ホテルは、15階あるフロアのうち、上の5フロア程しか使っていないというちょっと奇妙なホテルである。内装は70年代くらいの雰囲気を感じさせる。古いが清潔感はある。建物の上層部しか使っていないため、ポルトの町が一望できるのがこのホテルの最大の取り柄と行って良い。

その後、またマトジーニョスへ戻ってシザ事務所のイトウさんと合流してレストランで焼き魚を食べる。考えてみれば、マトジーニョスの町を歩いたのは初めてのような気がする。寂れた感じのする漁師町にシーフード・レストランが並ぶ。それぞれの店頭で魚を焼いている。あいにく、ポルトはその日から悪天候で、人影はまばらであった。

その夜、風雨は激しさを増す。ホテルの部屋の窓ガラスに風が、雨が、強く吹きつける。九州にいれば、台風は秋の風物詩という感じだったが、台風の通り過ぎていくちょっと不安になる夜を思い出した。その日はあまり眠れなかった。

翌日、タマダくんとともにセラルベス美術館へ行く。イタリア人作家Grazia Toderiの2つの映像を重ね合わせた作品「Red Orbits」が印象に残る。画面上を光線が走り、リングとなり、時には強く光り見る側の想像力を喚起させる。非日常的なイメージだけれど、どこかにありそうな風景に見えてくるから不思議だ。それは星空のようであり、どこかの町が空爆を受けているようでもある。

その後サン・ベント駅へ向かい、リスボン行きの電車に乗る。その頃になって、ポルトの町にようやく陽が射し始める。それとともに、僕は眠りについた。