27 October 2006

取材4日目が終了

取材も半分が終了。スムーズに事が進むこともあれば、そうでないこともあるけれど、全体的に見ればかなり良い調子ではなかろうか。しかも日に日にこちらとしてもコツをつかみ始めている感じがする。特に不利な形勢を逆転するクレームのつけ方とか。そんな中、いくつか「ポルトガル美」とでもいうようなものを発見した。

一つは、リスボンの眺めがなぜ美しいかということについて。僕は日本以外でポルトガルと比較する程知っている国はスペインしかないので、それと比較すると、リスボンの街は屋根がきれいという点がある。ではなぜその赤茶色をした屋根がきれいに見えるかというと、建物の外壁の淡い色使いにあるということに気がついた。通りを歩いていると、リスボンの街は渋いというか、ちょっとじみだな、という印象を受ける。外壁には黄やピンク、青、緑といった色が使われているがいずれもパステル系のものばかりだ。どうしてまたこんな淡い色を使うのだろう(リスボンには建物の色の規制がある)、それはそれでいい色ではあるけれど、と僕の頭の片隅には絶えずそういう疑問があった。同時に、リスボンは上から眺めるときれいなんだけどね、といったことをリスボンを訪ねてくる友人によく冗談めかして言っていた。結局、これらは同じことを言っているということに気がついた。外壁の淡い色と屋根の赤茶色がコントラストを為すことで、パキッとメリハリのついた風景を作るのだ。

もう一つは「陰翳礼讃」の日本的な美に通じるアズレージョの鈍い反射の具合。自然光をそれほど入れないポルトガルの室内空間において、アズレージョはわずかな光を拾って鈍く光る。曇り空のつづく秋の天候の下では外壁でも同じ効果があるが、特に室内空間において、しっくいとは対照的に、アズレージョの表面を光が走る。薄暗い日本の伝統的な室内空間において金色が鈍く光るのと質は違うが同じ原理を見ることができる。

明日以降はリスボン近郊、アゼイタオン、セトゥバル、シントラのアズレージョを取材する。