30 August 2006

リスボンからサラマンカへ



リスボンのセテ・リオス駅からサラマンカ行きのバスに乗る。早朝6時15分発のバスだったので、タクシーで駅まで向かう。タクシーを降りてバックパックを背負うと、久しぶりに「旅に出る」という感じがする。

夜更け前のリスボンをうとうとしながら眺める。スペイン人の親子が僕の後ろに座っていて、女の子が、お腹空いた、と言う声に時々目を覚まされる。

日が昇り、空が明るくなってきたものの、オビドス周辺では霧に包まれる。時々樹木が見えたり、家屋が見えたりする以外は、すっぽりと霧に包まれているため外の景色を見ることはできない。

またうとうとしているうちにレイリアに到着する。そこで朝食休憩でバスはしばらく停車する。僕はバスターミナルを出て近くのカフェテリアでコーヒーとパステル・デ・ナタの朝食を取る。8月だというのに、レイリアの朝は半袖では肌寒かった。バスが出発してしばらくすると、霧がなくなり、きれいな朝焼けが見える。まだ朝8時を過ぎたばかりだ。

午前11時ころ、セハ・ダ・エストレーラ近辺をバスは進む。地図で確かめていたわけではないけれど、以前訪れたときの記憶がそう確信させる。緑に包まれたり、巨大な岩が地面からむき出しになっているのが見えたりする。それを交互に繰り返しながら、樹木はしだいにまばらになっていく。それは次に広がってくるであろうカスティーリャ・イ・レオンの風景の予感に満ちていて、以前この地域だけを訪ねたときには感じられなかったものだ。

やがてバスは国境を越え、スペインに入る。国境を過ぎてしばらくすると、予想された乾いた大地がどこまでもどこまでも続く。持ってきたモレレンバウムのCDを取り出してヘッドホンで聴きながらカスティーリャ・イ・レオンの大地を眺める。パウラ・モレレンバウムは、人気のない砂浜が私たち2人を待ち続ける、と歌う。

サラマンカの町が遠くに見え始め、バスターミナルに着いた時は午後4時を過ぎていた。