
ジョアン・ディアスによるドキュメンタリー『As Operações SAAL』を見に行く。SAALは、「Servico de Ambulatorio de Apoio Local(地域支援相談局)」の略で、1974年の革命後の劣悪な住宅供給事情の改善を目的に設立された団体である。ドキュメンタリーでは、SAALプロジェクトに関わった建築家、住民などへのインタビューとともに、当時の新聞記事などを通して、革命直後のポルトガルの社会状況を浮かび上がらせることを試みている。元々、この作品は、2007年のリスボン建築トリエンナーレの際に公開されたが、今月、期間限定でシネマシティ・アルヴァラーデの一館のみで再公開されている。僕は2007年に見逃していたので、今回は何とか時間を作って見に行こうと思っていたものだ。
ヌノ・ポルタス、シザ・ヴィエイラ、ソウト・デ・モウラなどをはじめ、多数の建築家、SAALの当時の代表者、アシスタント、そしてSAALプロジェクトにより新たな住処を獲得した住民などにインタビューを行っている。政府がお金を出し、建築家が図面を引き、住民が自分達の手でレンガを運び住宅を建設する。SAALはセルフ・ビルドを原則としていた。年配の女性が両脇に大きなレンガの固まりを持った写真が目を引く。住民とSAALの間では活発な議論が交わされ、女性の発言力が住民運動の原動力となっていたこと、SAALは大きく3つの支部を持っていたが、イーリャ形式というポルトを中心とした北部都市独特の集住形態、そして政治思想のために、北部支部には他の地区にはない困難が存在していたことなどが明らかにされる。
「シザ・ヴィエイラの家に住んでいるんだ」と誇らしげに語る住民のシーンがある。幅の狭い階段には絨毯が敷かれ、窓枠は「性能の良いアルミサッシ」に付け替えられ、外壁には住民各々の「美意識」が表現されている。それでも、建築そのものはシザによるものだ、と彼は力説する。公平に見ても、平均よりは質の劣る公営住宅とは言え、ようやく手にしたマイホームは当事者にとっては宮殿のような存在なのである。
映画の終盤、シザによるボウサの集合住宅第二期の竣工記念式典の模様が映し出される。SAALプロジェクトが一つの区切りを見せたと思わせる場面である。その直後、リスボン郊外アマドーラの町で、解体される住宅を前に、カメラに向かって必死に不満を訴える住民達の姿が映し出される。「家」という物、そして「住む」という行為がいかに生々しいものであるかを眼前に突きつける作品だが、作者の住民に対する時折ユーモアを交えた暖かい眼差しがこのドキュメンタリーを優れたものにしているように思う。
25 May 2009
SAAL
24 May 2009
ムセウ・デ・アルテ・サクラ・ダ・セ
事務所が改修を担当したエヴォラのカテドラルの美術館が昨日オープンした。僕が事務所に入った1年目に設計に携わったプロジェクトであったので、オープニング・パーティに呼んでもらう。その時、僕が担当したのは教会脇の入り口の斜路。このプロジェクトのチーム・リーダーであったペドロ・アブレウが、どうだ、気に入ったか?と話しかけてくる。
1年目はペドロのチームでよく仕事をした。コヴィリャの橋やカンポ・マイオールの城の改修など、その頃関わったプロジェクトが最近になって徐々に竣工し始めている。事務所一の変人と呼ばれるペドロだが、実務経験豊富な彼はポルトガル語もほとんど分からなかった僕にいろいろと懇切丁寧に教えてくれた。そしてペドロが評価してくれたが故に、未知の国からやってきた僕を事務所は留めることにしたのだ。
今週末もリベルダーデのプロジェクトを進める。最後の詰めの作業。エヴォラを訪ねたことで、またエネルギーをもらった。
22 May 2009
完敗
久しぶりのアイレス・マテウス戦。ホリエくんがまだマテウス事務所にいた2007年以来、2年ぶりの対戦である。驚くべきは、2年がたった今もあのときとメンバーがほぼ同じであったということ。ただ、名ゴールキーパーのジョルジはいなかったな。序盤こそ先週の試合の勢いそのままに攻め立てたが、徐々に相手が持ち直し、1点、2点と点を奪われる。彼らはとにかくよく走り、パスをつなぎ攻撃してくるのである。そして一人一人の能力が高いために、ボールを奪うのは難しく、下手に足を出すと簡単に抜かれてしまう。そして、3点目を決められる。
そこから何とか粘って、一時は1点差に詰め寄ったが、結果は5-8。こちらとしても十分力を出し切った感はあるので、完敗である。
18 May 2009
ジャカランダ咲く
17 May 2009
ニーザのチーズ
キッチンを掃除し、シーツを洗濯する。洗濯が終わり、シーツをベランダに吊るしながら、そう言えば、今週、カルチャージェストで日本の映画をやっていたな、と思い出し、風の強い午後、シーツに10個くらいの洗濯バサミをつけて映画を見に行くことにする。
「エロスと反逆 ―60年代の日本の新しい映画―」と銘打たれたカルチャージェストにおける日本映画週間。そこで僕は鈴木清順監督の『肉体の門』を見る。当時としてはかなり衝撃的だったのだろうな、と思いながら見る。登場人物の妄想がシーンに重なってくるのは面白い。一番衝撃的だったのは生きた牛が解体される場面である。
その後、フェイラ・ド・リブロに行く。天気のいい日、本を物色する人々で賑わう。周辺の公園ではピクニックをしているカップルや家族連れがたくさんいる。さっき見て来た映画とは正反対のような、平和な週末の場面が目の前で繰り広げられている。露店で買った揚げパンを食べながら、本を見て回る。何冊か、買おうかどうか迷った本があったけれど、意外と高かったので買わずに帰る。
帰宅途中、自宅付近のシャルクタリアでニーザのチーズと生ハム、そしてパンを買って帰る。開けて何日か放っておいた赤ワインのことを思い出したから。ニーザのチーズはうまい。こんなうまいチーズの出来るところはきっといい所に違いない、と思いながら赤ワインを飲み干す。
15 May 2009
17-1
木曜日は恒例のフットサル。相手はプロモントリオ。4年前に僕の眼鏡を真っ二つに砕いた因縁の相手である。その頃僕は運動用の使い捨てコンタクトレンズを切らしていたので、眼鏡をかけたままプレーしていた。そして、ゴールキーパーをしていたときに至近距離からの強烈なシュートを顔面ブロックしてしまったのである。鼻筋にうっすらと内出血の後が残った。
そんな因縁の相手だったわけだが、今回は完全にこちらのペースで試合が進む。前線から連動してプレスをかけるという作戦が功を奏し、相手はミスを連発し、次々とゴールを奪う。僕自身、4試合ぶりの得点をあげて、17-1の圧勝であった。
帰りにゴンサロと友人のヌノとガレットで夕食をとる。以前はフットサルの後は決まってガレットでビファナを食べ、ビールを飲んでいたものである。ガレットはカウンター席が店内の奥までずらりと並んだ、ポルトガルでは珍しいレストランの形式である。昨日は偶然座った席の目の前に、カボ・ヴェルデ出身の女性歌手ルーラが座っていたが、それくらいリスボンではその独特なレストラン形式故に名の通ったレストランである。クレメ・デ・マリシュコとプレゴのサンドウィッチ、そしてビール。フットサルの後にはちょうど良い夕食である。
ペチャクチャ・ナイト vol.6(ただ見編)
久しぶりにペチャクチャナイトに行こうと思ったら、こういう日に限ってミーティングが夜10時まで続く。遅れて後半から会場に入る。今回がリスボンで行われた第6回目のペチャクチャ・ナイトで、会場は、ムゼウ・ダ・エレクトリシダーデ。
後半から会場に入ったから、うっかり、チケットを買わずに入場(あくまで、うっかり)。久しぶりに参加したけれど、発表をうまくまとめる人が増えたな、という印象。これまでのペチャクチャ・ナイトでは、結構いろいろと実験的な発表もあって、それはそれでおもしろかったけれど、一方で、つまらない発表もかなりあった。そして、そのほとんどが建築家の発表だった。
今回は建築家ではリカルド・バック・ゴルドンのプレゼンがあった。最初の2分くらい(全部で6分)で自分の言いたいことを述べて、あとは作品の写真を流すだけ、と、一見つまらなさそうだけれど、建築作品を真正面からプレゼンしているにも関わらず、聞く方は非常に楽な気分がして、これはなかなかいい方法だと思った。発表する方も、自分の主張をコンパクトに述べているから、ペチャクチャナイトにおいて、「しゃべる時間」と「しゃべらない時間」をうまく使ったプレゼンだったと言える。
11 May 2009
翻訳
日本の建築雑誌社より翻訳の依頼がある。担当者は、2年前のリスボン建築トリエンナーレをきっかけにお会いした、当時は大学生であった方であった。彼女はその後、出版社の編集部に就職し、今回仕事を依頼して来たわけである。よく自分のことを覚えていてくれたもんだ、と感心する。さらに驚くべきは、ポルトガル語ではなく、スペイン語から日本語への翻訳である。ポルトガルにいるんだから、スペイン語も分かるに違いない、と思ったのかもしれない。
それで週末はその翻訳に取り組んだ。A4一枚分のわずかな分量だけれど、わざわざ依頼してくれたことが僕としてもうれしかったので、丁寧に、正確に訳した。
03 May 2009
セナーのコンペを提出
先週木曜日からコンペのプレゼンを手伝う。明日月曜日までに提出しなければならないので、事実上、今日の午前中までが事務所内でのデッドラインだったが、今日の午前6時にパネルや書類のパッキングが完了。昼の飛行機でゴンサロがパリへ旅立った。
今週は水曜日にリベルダーデのクライアントと実施設計提出直前の調整ミーティングがある。だいたいの準備は先週までにできていたので、それほど忙しくはならないだろうけれど、それなりに忙しくはなるだろうな。気が付けば3週連続で週末出勤しているので、来週末は久しぶりにどこかへ旅をしたい。