マドリードでのコンペを担当することになり、先週末、説明会へ参加するために日帰りでマドリードへ。午前10時からの説明会に間に合うように、朝8時の飛行機で行く。現地で恊働する事務所の所員と合流し、説明会へ向かう。説明会、敷地見学と仕事でスペイン語を使うのは初めてだったので、かなり疲れる。帰りの便に乗るために空港に着いたときには頭がぼぉっとしていた。マドリードではいろいろと見たいものがあったけれど、今回は都合が合わず、飛行機の待ち時間にバラハス空港の新ターミナルをぶらぶらと見て回る。うねうねとした屋根と機能的な建物本体との関係が対称的で、とてもバランスの取れた建築だと思った。館内放送を極力控えているようなアナウンスがあったけれど、そのせいもあってか、建物内は静かで凛とした雰囲気が漂っていた。そういう空気の中であのうねうね屋根を見上げると、お互いがその特徴を強め合っている感じがしてとても良かった。
19 November 2008
マドリードへ出張
10 November 2008
ポルトガル人は時間にルーズか
ポルトガル人が日本人に比べて時間にルーズである、というのは、まあ、否定しようのない事実であろう。単に友人と待ち合わせをする場合、事務所でエンジニアと打ち合わせをする場合を考えても、30分くらい遅れるのは普通である。そして、遅れた方はもちろん誤りはするものの、お互いそれほど気にすることはない。むしろ、相手が遅れることを想定して、時間ぴったりに行くことはあまりなく、焦らず、慌てずという心構えの人が多い。
しかし、その事実を覆すようなことが起こった。最近、担当プロジェクトの現場に足を運ぶことが多いが、その際、常に建物の管理人と事前に連絡を取って時間を調整する必要がある。管理人であるマリオさんは、建物よりちょっと離れたところに住んでいるからだ。その日は午前11時に待ち合わせをしていたのだが、僕はたまたま30分以上早く着いてしまって、手持ち無沙汰で周辺をぶらぶらと散歩していた。途中で近くにカフェがあったことを思い出して、そこへ向かうと、何と約15分前に建物の前でマリオさんが待っているのが見える。慌てて挨拶をしに向かう。その日はエンジニアといっしょに現場を見る予定であったが、エンジニアが到着したのは11時少し過ぎ。
それで、先週も同じ時間帯に待ち合わせをして、やはり15分前に到着すると、案の定、マリオさんは建物の前で待っている。その日は僕一人だったが、建物の屋上へ向かうエレベーターの中で、マリオさんは、君は時間厳守だな、と言う。その言葉で、暗にポルトガル人を揶揄しているのが分かる。
しかし、そうやって思い返すと、遅れてくる人、あるいは自分が遅れて到着してしまう場合、相手は気心しれた友人か、普段よく会っている人の場合が多い。つまり遅れてもそれほど問題にならない場合に遅れているという気がする。初めて会う人であれ、遅れてくる人ももちろんたくさんいるが、マリオさんのような人を見ると、ポルトガルとは言え、当然ながら遅刻はすべきでないということが分かる。まあ、まあ、大丈夫、まだ誰も来ていないよ、という考え方を良く思わないポルトガル人もいるのであり、そういう考え方が蔓延してしまったことで、物事が進むスピードもゆっくりになってしまっているんだろうな。
08 November 2008
ベンフィカ戦
久しぶりにスタジアムへ足を運ぶ。UEFAカップのベンフィカ-ガラタサライ戦を観戦。ベンフィカは僕がポルトガルに来てから一度リーグ制覇をしたものの、僕を興奮させるような試合をしたことはほとんどない。たまにいい試合をすることはあっても、シーズンを通しておもしろい試合を見せてくれるチームではない。しかし、ポルトガルにおいて、ベンフィカが一番人気のチームであることに変わりはなく、事務所にもたくさんのベンフィキスタがいる。それで、事務所のベンフィキスタとともに試合を観戦しに行った。
リスボンにしばらく住んだことがあれば、あなたはベンフィキスタですか、スポルティンギスタですか、という質問は受けたことがあると思う。サッカーに興味がない人であれば答えられない質問であるけれど、例え興味があっても答えにくい質問である。まず第一に、ベンフィキスタに、自分はスポルティングのファンである、と答えれば、家族を中傷されたかのように不機嫌な態度を取るし、その逆も然り。そういう熱烈なファン意識を考慮して答えにくい。第二に、どちらかというとこちらの方が重要であるが、その両チームの試合は共に面白みに欠けるし、自分の気持ちに嘘をついてまで、どちらかのファンということは僕にとって非常に難しい選択であるからだ。そして、実際にポルトガルのチームで試合を見ていて面白いのは、FCポルトの試合である。だから、僕はポルトファンとは言わずとも、ポルトの試合を見るのが好きだと答えるようにしている。それはベンフィカ、スポルティングのファンにとっても認めざるを得ない事実であるから、彼らも渋々と納得することになる。
木曜日の試合はベンフィカファンにとって最悪であった。今までと変らず、ディフェンスは横に4人並んでいるだけで、いとも簡単に相手チームにゴールを奪われて、ホームで0-2の敗戦。5人のベンフィキスタは、ベンフィカファンではない日本人を前にしてかなり決まりが悪そうである。挙げ句の果てにゴンサロは、お前といっしょに見るといつも負けるんだよ、お前のせいだ、といつものセリフ。さすがに何度も言われるといい気持ちはしないので、
「ベンフィカファンは親切な人達だね、負けるといつも俺の責任になるから。」
と答えると黙り込んでしまった。翌日も、事務所では同じようなことを言っているし、アデライデも、「あなた強いチームが好きなんでしょ。」なんて言う始末である。強いチームが好きと言わずとも、魅力のないチームをわざわざ好きになるような人がいるだろうか(ベンフィカが嫌いな理由は、試合運び云々よりも、強化方針のまずさである)。リスボンっ子でもなく、ベンフィカの黄金期を知るわけでもない日本人にベンフィキスタになれ、という方が無理である。
01 November 2008
マカオ料理、ゴア料理
先週水曜日に、クミコさんの知り合いのポルトガル人宅に夕食に招かれた。約束の午後8時より少し遅れて到着する。出迎えてくれたのは、以前マカオに滞在していたバヘイロス夫妻で、日本に滞在したこともあるという。日本人の友人もたくさんいるそうだ。家にはインド、中国、日本などのアジア諸国の食器や民芸品がぎっしりと壁を覆っている。その中に家族の写真もたくさん飾ってあるが、家系にはインド人や中国人、あるいは日本人の血が混ざっている、と医者であるペドロさんが教えてくれた。
妻のグラサさんが振る舞ってくれたのがマカオ料理だった。マカオ料理も、ポルトガル人が大航海時代に世界各地の食文化を取り入れながら発展していったクレオール料理に含まれるそうだ。カボチャ(日本のカボチャとは全く異なる)の中をくりぬいて、中にチョリソ、鶏肉、椎茸、麺(米が原料)を入れて4時間程煮込んだスープ、ターメリック、ココナッツミルクなどで煮込んだ白身魚をご馳走になった。デザートの後に、中国茶も頂く。自分が一体どこにいるのか分からなくなるような体験であった。「ポルトガル人は元来、コスモポリタンであって」という、フェルナンド・ペソアの言葉を思い出す。
久しぶりにクレオール文化に触れたためか、昨日はヤスシ君と事務所の帰りにゴア料理を食べに行く。ゴア料理もクレオール料理と呼ばれるものの一つで、以前、マルティン・モニスにあるレストランで食べたことがあったが、他のインド料理と比べて、落ち着いた味付けである印象を受ける。最もインド料理に詳しいわけでもないので、うまく違いは説明できない。昨日、僕が食べたのはモケカというエビカレーで、ココナッツミルクのたくさん入ったカレーだった。
ポルトガルと世界を裏道でつなぐ印象を与えるクレオール文化というのはとても興味深い、と改めて思う。僕にとっては、これがポルトガル文化の醍醐味である。